森博嗣「彼女は一人で歩くのか?」Wシリーズは森作品の集大成になりそう!

作家
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新レーベル講談社タイガの創刊ラインナップの一角、森博嗣さんの新シリーズ。

今回のシリーズ名はWシリーズだそうです。ウォーカロン(Walk-Alone)からかな?

このシリーズ、なんだかこれまでの森作品の集大成とも言えるシリーズになりそう。これまでの森作品との絡み方もあって、それくらいのスケール感を感じる。

森ファンならいい意味で反応してしまう要素が散りばめられていて、ウォーカロンからしてそうなんですが、森作品を代表するあのひとの名前が出てきたり、他にもミチルの名や赤い魔法など、気になる言葉がたくさんある。

そういった点も含めて森作品の集大成。ファンからしたらたまらない要素がふんだんにつめ込まれている。

かなり楽しみなシリーズになりそう。全部追っかけて行く予定ですね。

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第一巻感想:彼女は一人で歩くのか?Does She Walk Alone?

あらすじ

ウォーカロン。「単独歩行者」と呼ばれる人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。

森博嗣の文章に合った世界観

今回の舞台は近未来。限りなく人間に近い人工体ウォーカロンと、体の大半を人工物で代用できるようになった人間と。

人間とウォーカロン、お互いに近づきすぎた。どこからどこまでが人間なのか、その線引というのはたしかに考えさせられた。

人間を人間たら占めているのはなにかというのは、かなりの難問。わからなくなってくる。

今回の世界観、森さんの文章がすごく合っているなーと。理系ミステリィをこれまで書いてきた森さんらしく、SFの世界観はすごく合う。

この世界観がすごくよくできていて、そこで語られる人間性だとか命だとかにすごく説得力があります。

SFの世界観に哲学的な内容は相性がホントにいい!これまちがいないわ。

森博嗣流のカタカナ表記にテンションが上がる!

森さんといえば、そのカタカナ表記。まぁ森さんというよりも工学分野の書き方なんだそうです。

ミステリーはミステリィ、コンピューターはコンピュータ。今回もレジャーではなくレジャなどの言葉が出てきますけど、森ファンはこの表記だけでもうテンション上がるんdねすよね。

このカタカナ表記を見ると、ああ、森さんだなぁと思うよね。

第二巻感想:魔法の色を知っているか? What Color is the Magic?

あらすじ

チベット、ナクチュ。外界から隔離された特別居住区。ハギリは「人工生体技術に関するシンポジウム」に出席するため、警護のウグイとアネバネと共にチベットを訪れ、その地では今も人間の子供が生まれていることを知る。生殖による人口増加が、限りなくゼロになった今、何故彼らは人を産むことができるのか?圧倒的な未来ヴィジョンに高揚する、知性が紡ぐ生命の物語。

人の価値観なんて簡単に吹き飛ぶもの

限りなく死ななくなった人間の価値観ってスゴイもんで、長く生きられるようになったことで未来の人類をこれだけ信頼できるのかと。いろんなことを乗り越えてきた自負のようなものなのかな。

でもそれを想像でここまで書く森さんもとんでもないな。あるいは森さんの価値観ってこんななのか?それはそれでおそろしい。

同じように子供が生まれないんじゃあ子を愛する親の気持ちってのも理解できないようなぁ。かくいうわたしも子供いないしそれは一緒。でも親が子を愛してくれるものだというのは身を持って実感しているけれど。

この本を読んで思っていたのは、人間の価値観なんて偉そうに言ってみたところで、それを形成しているのは環境でしかないんだなぁってこと。当然のはなしではあるんですけどね、今の自分達を江戸時代の人間ではやっぱり価値観なんて違ってて当たり前。

そう思えば価値観なんてことになんの意味があるのかなぁなんてことも考えちゃうな。哲学的だ。それこそ限りなく人間に近づいたロボットと、限りなくロボットに近くなった人間の違いみたいなもんで、区別することにどれだけの意味があるのかななんて考えちゃいます。

そんでもってどれだけ価値観が変わっていってもやっぱり欲ってのはあって、そんな世界でもテロのようなことが起きるんだなぁってのはある意味リアル。現代だってこれだけ文明が発展していても未だにテロなんてのは起こっているわけですしねぇ。

SF世界ってのは作りこめば作りこむほど現代を映すものになるんだなぁって思う。ホントに考えさせられます。

動きまわるマガタシキ

この人はホントにすごいなぁ。気付いたらめっちゃ大物になっていた。こんな未来の世界でも暗躍しまくり。一体何をしようというのか。

この世界観ですべてのウォーカロンを掌握できるのなんてもはや神と言ってもいいわけで。つーか子供が産めない状況ってのもこのが仕組んだことなんじゃないの?

だって世の中から人間がいなくなってウォーカロンだけになったらもはや完全に世界を支配できている状況なわけだもんね。なにを目指してそうなのかってことはわかんないけども。

まぁそんな推察。と言うか妄想。うーん、やっぱり楽しみだなぁ。森さんがこのシリーズでたどり着くモノ興味が強すぎてヤバイ。

Wシリーズはどこにたどり着くのか

このシリーズの行き着く先ってどんなんなんだろう。すっげー楽しみにしている自分がいる。

今までの森作品の延長線上にあって、かつ集大成のような雰囲気を感じる。もうなんつーか、このシリーズが終わった時なにか関わるんじゃねーかって気すらする。

それくらい楽しに見にしているシリーズ。刊行されていくのにあわせて随時感想もアップしていきたいとおもいます。

それではまたー。