貞子の正体って結局なに?原作リングシリーズの解説します【ネタバレ注意】

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かつて大ヒットしたジャパニーズホラー、リング。長い髪を垂らし白装束をまというらめしや~とつぶやく典型的な女性の幽霊像も、今ではイコール貞子と呼ばれるくらいに世間に認知されていますね。

そんな日本中を震撼させたリングシリーズも、なんというか最近の独り歩きがすごいというか。気づいたら貞子3Dだとか貞子VS伽倻子だとか、すごいB級ホラーに成り下がっちゃってます。

もはやアメコミとかのノリですよね。そのうちホラー映画のキャラ集めてアヴェンジャーズみたいなものでも作るとか……?

コンテンツが続いていくというのは一人のリングファンとしては嬉しいことでもあるんですけども、でもなんだかなぁって気持ちもあります。

そうなんですよ、貞子やリングシリーズの魅力って、ホラーなのはもちろんその枠で収まりきらないミステリアスな部分にあるんですよね。

ということで今回は、貞子の正体や原作リングシリーズについて解説していこうと思います。

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原作リングシリーズ刊行一覧紹介

意外と知られていないであろう、原作小説のリングシリーズをまずは紹介します。

リングシリーズ原作は本編3冊と関連エピソードの短編集が1冊。それぞれ、

  1. リング
  2. らせん
  3. ループ
  4. バーステイ(短編集)

となります。

リング、らせんとバースデイに関しては映画化されていますが、リングシリーズの完結編にあたるループに関しては映像化はされていません。

ループが映像化されなかった理由としてはその内容による部分が大きいとは思うのですが、結局のところそれまでのリングシリーズとはまったく雰囲気が違うんですよね。

そして第二シーズン的な位置づけとして、現在下記の二冊が刊行されています。

  • エス

  • タイド

テレビや映画の映像作品のリングシリーズはいろいろと派生作品が多すぎてとっちらかっちゃってるんですが、原作リングシリーズは意外と刊行数が少ないんですよね。

原作リングシリーズの特徴と変遷

ホラー作品として大ヒットした第一作目のリング。このリングはたしかにホラー作品ではある一方で、ミステリー要素も組み込まれた作品になっています。

これで助かった、と思ってからのラストの大どんでん返しによってリングという作品は名作となったのだと思います。

第二作目のらせんではホラー要素は残しつつサスペンス色を強め、さらに医学的な要素を追加していきました。

それでもこのらせんまではまだホラー作品としてのカテゴリーから逸脱したものではありませんでした。

そして完結編である三作目、ループでは一気にSFへと舵を切ることになります。

らせんまでのようにホラー作品であれば説明不要だった部分も、SFになったことで理屈をつけさらにそこから世界観が広がりました。

リングシリーズの一番の特徴はジャンルにの枠に縛られない懐の深さであり、それこそがリングシリーズのおもしろさに繋がっています。

リングという作品が大ヒットして、でもただのホラー作品で終わらないってのがすごい意欲的ですし、エンターテイメントという路線をぶっちぎっちゃってるんですよね。

ホントにとんでもないシリーズだと今でもずっと思っています。

あなたがまだ知らない本当の貞子とリング

ここからはネタバレ含む、原作リングシリーズの解説をしていきます。

知られざる貞子の正体や、これまで散々ぼかしてきたループがどうSF作品なのかといったところがわかります。

リング、らせんの世界は仮想現実世界である

ループではリングとらせんの世界は環境の変化などをシュミレートする仮想現実世界であることが明かされます。要はコンピューターの中の世界ってことですね。

ホラー作品であったリング・らせんからループでSF作品になったというのは、この世界観によって成り立っています。

これによってシリーズで重要な要素であった呪いのビデオだとかリングウイルスだとかも、死者の怨念だとかそういうものとはまったく違っていて仮想現実世界に起きた不具合という形で説明されることになります。

これすごいですよね、ホラー作品でこれをやるのってある意味で究極の禁じ手だと思いますし。すべてのホラー小説はこの手法で一気に陳腐なものになっちゃいますもん。

ループがリングシリーズとして映像化されていないのも、それまでのホラー作品としてのリングシリーズを否定するものになるからというのもありそうです。

ただ、わたしとしてはリングシリーズをループで完結させたのはホントにすごいと思っています。ただのホラー作品では終わらさなかった、いや終わることができなかったリングシリーズのラストとしてはこれ以上はないんじゃないのかなと。

貞子の正体はコンピューターウイルス

仮想現実世界における呪いのビデオだとかはコンピューターの不具合として、そこから貞子という存在の正体に繋がってきます。

貞子の正体、それは仮想現実世界におけるコンピューターウイルスです。

増殖を繰り返して仮想現実世界を埋め尽くしていく。原作リングシリーズでのらせん終了後、ループ開始時には仮想現実世界は増殖した貞子で埋め尽くされて仮想現実世界は停止してしまっています。

このあたりリングシリーズのホントにおもしろいところで、らせんでは呪いのビデオを見ることで感染するリングウイルスとして医学的な要素として扱っていたものを、ループではコンピューターウイルスとして扱っているんですよね。

同じウイルスという要素を扱い方を変えることで見せ方を変える、連想させるというか昇華させていくところがもう見事としか言えません。

呪いのビデオを観ると妊娠する

上ではサラッと書いたんですけど、貞子は増殖します。ウイルスですからね。

とはいえ、いくら仮想現実世界だからといってポンポン勝手に人が湧いてくるわけではなくて、あくまで現実世界をシュミレートするものなので人が増えるのも男女の性交によるという原則があります。

ではどういった方法で貞子が増殖していくかと言うと、まず一つが排卵日の女性が呪いのビデオを観ると妊娠してしまうというものがあります。

呪いのビデオを観るとリングウイルスに感染することになりますが、このウイルスには貞子の遺伝子情報が入っていて排卵日の女性がリングウイルスに感染した場合は卵子に受精して妊娠していまいます。

つまりリングウイルスは貞子の精子でもあるんですよね。

そして受胎したその子供は貞子として生まれてくることになります。らせんではこの方法で貞子が復活しました。

貞子は両性具有である

呪いのビデオでリングウイルスに感染させて妊娠させ貞子を増やしていくという方法は人々がビデオを観てくれなくなれば成り立たなくなります。排卵日にあたるかどうかも不確定ですしね。

そこでもう一つの増殖方法が存在するのですが、ここでもまた貞子の正体に大きく関わってくる部分があります。

貞子は実は両性具有(睾丸性女性化症候群)であり本来であれば子供は産めないのだけれど、らせんで復活した貞子はパワーアップしていて自分一人で受精させ子供を作れるようになっています。

貞子が貞子を妊娠しそれを出産するというサイクルによって貞子は増えていきます。貞子が貞子を産み、さらにまだその貞子が貞子を増やしていく。そうやって貞子が増え続けた結果、仮想現実世界は貞子で埋まり停止してしまったということです。

今だからこそ原作リングシリーズを読んでほしい

映画リングの大ヒットから20年経ち、今でも貞子はその存在感を発揮してはいるもののこの先どこへ向かっていくんだろうという不安のようなものがあります。

貞子VS伽椰子なんかはホラーというよりももはやパニック映画みたいになってきていますしね。シリーズが続いていくのは嬉しいですが、かけ離れたものに変わっていくのは少し寂しくもあります。

だからこそ、今だからこそ原作リングシリーズを読んでほしいなって思います。特に映画でしかリングシリーズを知らないって人にこそ。

わたしも映画のリングを観たあとに原作を読んだ人間ですが、原作を読んだあとの印象は映画を観たあとと全然違っていて、わたしにとってはリングシリーズは読書の面白さを教えてくれた作品の一つであり大事な作品です。

この記事を読んで少しでも興味が湧いたって人はぜひとも原作のリングシリーズを読んでほしいです。今更なんて思わないでね、たぶんこれからもリングシリーズは続いていきますから。

それではそんな感じで、それではまたー。