警察小説は数あれど、警察学校を舞台にした小説っていうとちょっとでてこない。それくらいには特異なのがこの教場。
警察学校って言葉は聞くけどもなにをやっているのか、どういったことを教えているのかってのは全然知らなかったわけで、こういう世界もあるんだなーって感じでしたね。
いろいろと思うところはあるんですけども、でもこの本はたしかにおもしろかったですよ。おすすめではあります。
あらすじ
希望に燃え、警察学校初任科第九十八期短期過程に入校した生徒たち。彼らを待ち受けていたのは、冷厳な白髪教官・風間公親だった。半年にわたり続く過酷な訓練と授業、厳格な規律、外出不可という環境のなかで、わずかなミスもすべて見抜いてしまう風間に睨まれれば最後、即日退校という結果が待っている。必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじきだすための篩。それが、警察学校だ。
これが警察学校のリアル?
なんというか、これをリアルな警察学校だと言っちゃうとたぶん嘘になっちゃう。さすがにこんなに警察学校で事件が起きているのとか、警察官志望者がこんなに頭おかしい人ばかりなのは嫌だ。笑
なのであくまでフィクションだと割りきって楽しむのが大切なんだろうなと思う。そうやって読めばこの本は間違いなくおもしろい。
雰囲気的には警察というよりも軍隊というか、スパイ養成学校が描かれていたジョーカーゲームなんかを彷彿とさせる。
適性のないものをはじくための篩だというのはたしかに間違っていないのだろうけど、でもそれこそ軍隊的で、現実の警察学校はさすがにそんなんじゃないでしょ?
どの事件もインパクトがあって読み応えがある
連作短編の形式で、一編一編が切り口の違うお話でそれぞれおもしろい。
その話の中では結末を描かず、次の話の中でその後を描いていくっていうのは緊迫感が途切れずなかなかうまいなーと思った。そのおかげでどんどん読み進めちゃうよね。
次の話が始まって、生徒の数が減っているのを見るたびにどうなったんだ……?って想像させられる。
これはもう連作短編って形で、こういうつなぎ方にしたことがもう大成功だよね。
キャラクターの魅力
それぞれの編のキャラクターはそれほど印象に残らないというか、あれこいつ誰だっけってなるぐらいの存在感。
でも、教官の風間だけは全編通して印象深い。この教場という作品が教場足りえるのはまさにこの人がいたからなんだろうなと。
事件のあらましから内情の機微までなんでもお見通しな教官は、ある意味で社会不適合者な生徒たちを警察官にしていくのはこういう人たちが教鞭をとっているからなのかなとおもった。
警察学校というのはある意味で飛び道具的で、でもそれだけで終わらないのはこの風間というキャラクターの存在が大きかったなーと。
ということで、この作品は間違いなくおもしろかったですよ。上に書いたジョーカーゲームが好きな人なんかは間違いなく楽しめると思う。
それではまたー。