書籍紹介の時間です。
作家とはみんな中二病みたいなもんだと思ってますけど、その中でも群を抜いた存在、この世で唯一の大説家、清涼院流水さん。
清涼院流水さんの本は小説ではなく流水大説であり、自身も小説家ではなく大説家なのです。
そんな流水大説を、怖いもの見たさでいいのでぜひ一度は味わっておいてほしいと思うのですよ。
もともとはそれぞれ別の作品である
コズミック・ジョーカーと並べて表記していますが、もともとコズミックとジョーカーはそれぞれが独立した作品です。
コズミックはデビュー作で、メフィスト受賞作でもあり、受賞時のタイトルは1200年密室伝説というタイトルでした。
この2作品はJDCシリーズ、日本探偵倶楽部という探偵組織に属するたくさんの探偵が活躍シリーズの1作品となります。
構想が既にあったのか後付なのか知りませんが、デビュー後第2作目ジョーカーでは1作目と組み合わせることで浮かび上がる仕掛けを施してあります。
清涼に流水をインすることでコズミック・ジョーカーが完成することとなります。よくわからん……
コズミック 流 → ジョーカー 清 → ジョーカー 涼 → コズミック 水 (流と水の間に清涼を挟む(インする))
既存の小説とは一味違った、流水大説ならではの仕掛けが特徴の一つと言えます。いやだからなに?って言われたらそれまでなんですけど……
常識という概念をまったく考えない設定
JDCシリーズには探偵がたくさん出てきます。これらの探偵には特殊能力があります。能力モノの探偵モノです。意味わかんねります?
どんな能力が出てくるかってーと。たとえば、
- 神通理気(じんつうりき) 推理に必要な手掛かりが全てそろうと、一瞬にして真相を悟ってしまう。
- 集中考疑(しゅうちゅうこうぎ) 全神経を事件の一要点に集中し、一瞬で推理を進行させる。
- 潜探推理(せんたんすいり)- 自らの潜在意識を探ることで意図的に天啓を閃かせる。
などなど、まともなミステリィなどと考えると確実に痛い目を見ます。要はこの作品の探偵たちは推理するわけじゃ人ですよ。能力頼み。
しかもそれを大真面目にやっているのですからなおさらたちが悪い。まじめに考えたら負けです。
ムダにでかいスケール感
事件をむやみにワールドワイドに広げたり、あるいはムダに過去にさかのぼったりします。まだ書いていない、頭のなかだけの過去のことをひたすら回想を仕掛けてくるんでなかなか厄介。
後になって刊行されているものもあるので、構想があるのは大したものではありますが。でもあえてムダと言いたくなるのが流水大説です。
ただね、このスケール感には上記の能力などもあわせて中二心をくすぐられます。そのうち世界を滅ぼそうとしてきますから。
ホントそういうところだけはすごく上手だと思うんですよね。なんてーか遠慮がない。笑
どこから読んでもトンデモしかない
ここまでいろいろと書いてきましたが、基本的にトンデモしかないのが流水大説です。あ、一応ほめてます。
むちゃくちゃな理論を持ち込んで推理を投げっぱなしにすることなんてもはや序の口です。スタンダードなのです。
このコズミック・ジョーカーなんて推理できる人はまずいないです。だって推理させる気ねーんだもん。
というかこんな犯人をよく思いつくなーというか、単純頭おかしい。っつーかそれを犯人って言えるのかよっていう。
だって犯人卑弥呼様だよ?(ネタバレ)
でも後世に与えた影響も大きい
そんなトンデモでも、突き抜けることで一つの芸術になっているのかもしれません。ゆえに影響を受けたという作家も多いです。
JDCシリーズには他作家によるトリビュートシリーズもあり、西尾維新さん、舞城王太郎さんなどが作品を出しています。
半端ないぶっ飛び具合だからこそ、それがアホくさいように見えても本気でやっているからこそ、人に影響を与えていくんだなーってなんか納得しちゃいました。させられたというべきか。だって結果残してるんだもんな。
メフィスト賞の方向性を確立した作品の一つでもあります。色物に見られる原因を作った人でもあるけれど。
あ、散々けなしているようでもありますけど、個人的にもめっちゃ好きな作品でもあります。つーか普通に好き。
普通の小説なんかじゃ満足できなくなってしまった、そんなあなたには流水大説が必要です。あなた自身が流水大説を体感してください。
それではまたーねー。以上、あぽかる(@apokaru)でした。Yes,I’m Apokaru!